議事録って意外に難しいですよね。
上司から分かりづらいと言われたり、やりなおしと命じられたりすることは結構あると思います。
どうすれば分かりやすく上司や周りが納得できる議事録が書けるのでしょうか。
私も新入社員の頃は「分かりづらい」とよく上司から怒られていましたが、自分なりに試行錯誤する上で議事録のコツをつかみました。
それ以降、私が書く議事録は「分かりやすい」と評判になり、後輩にもそのコツを教え好評を得ています。
今回は私が普段後輩に教えている、上司が「分かりやすい」と唸る議事録の書き方とコツをご紹介します。
最後に議事録のフォーマットもご紹介しているのでご参考にご使用下さい。
議事録の基本の書き方/取り方
まずは、議事録の基本の書き方をご説明いたします。
基本中の基本のことですので、ある程度経験がある方は読み飛ばして頂いて問題ございません。
である調で書く
議事録に限らず、社内向けの文書は「である」調で書くようにしましょう。
議事録をです・ます調で書くと、一文が長くなり冗長な印象を読み手に与えてしまいます。
口語体から文語体に直す
打ち合わせや会議での発言をそのまま議事録に書いてはいけません。
通常話される会話はフランク、カジュアルな発言が多いと思います。
話し言葉をそのまま議事録に書いてしまうと冗長且つ稚拙な印象を与えてしまいます。
下記の例のようにしっかり書き言葉に変換しましょう。
例 「A社の件、XXでいいっすかね?」 → 「A社の件はXXで良いか?」
「YYという懸念はあるけど、いいんじゃない?」 → 「YYという懸念はあるが、XXで良い」
「議題、決まったこと、やること」の3部構成が基本
議事録の基本の構成は下記のとおり3つです。
- 議題(打ち合わせの目的)
- 決まったこと
- やること
議事録の主な目的は参加していない人への情報共有と参加者のための備忘録(責任範囲の明確化)です。
その目的に沿った項目のみ書けば問題ありません。
必要なのは、「何についての会議なのか(=議題は何か)」「その会議で何が決まったのか、何が決まらなかったのか」「その会議の結果、やると決まったことは何か」です
これだけで十分です。あとは枝葉末節です。
シンプルにいきましょう。
所感は不要
議事録は感想文ではありませんので、感想である所感は不要です。
書き手の感想は求められていません。
ビジネスである以上、感想に価値はありません。
求めらているのは、アクションです。
議事録を読んで、次何をすれば良いかが明確になれば良いのです。
過去の議事録を見る(会社のフォーマットを利用する)
議事録を書く前にフォーマットを準備しましょう。
社内の所定のフォーマットがあればそれを使い、なければ先輩が過去作成したものを使用しましょう。
会社や部署において、所定のフォーマットや慣例的に使わているフォーマットがあるはずです。
読む側にとって見慣れたフォーマットの方が分かりやすく感じます。
議事録を書く側にとっても、何をどうかけば良いのかが明確になります。
打ち合わせや会議の議事録には種類がある
基本の書き方は議題事に要点をまとめていくスタイルです。
一目見て分かりやすいシンプルなスタイルです。
時系列順にとにかく決まったこと、決まらなかったこと(=課題)を羅列していくスタイルです。
システムの要件定義の打ち合わせなどよく使用されます。
打ち合わせの内容や上司先輩の指示に応じて使い分けましょう。
分かりやすく議事録を書くコツ
ここからは、より分かりやすい議事録を書くためのポイントをご説明します。
これらを実践すると、上司や先輩から「分かりやすい」と褒められるようになると思います。
分かりやすさの秘訣はシンプルで論理的であることです。
無駄を排して必要な情報だけが詰め込まれている議事録が分かりやすい議事録です。
その会議/打ち合わせの議事録を書く目的を明確にする
どんな仕事でも、まず目的を確認することが最重要です。
目的を把握しているからこそ、その目的にそった議事録の書き方が可能となるのです。
そうすることでどのように議事録を作成すればよいのかが分かるのです。
目的が、情報共有なのか、読み手に判断を促すものなのか確認します。
読み手に対して何らかのアクションを促したり、注意喚起を促したりという目的であれば、「次何をすべきか」というアクションを明確にする必要があります。
書こうとしている議事録が何のために存在するのか、何の役に立つのかを考えましょう。
単なる情報共有なら、大した意義はないので、情報を箇条書きにするなどサクッと終わらせるようにしましょう。
5W2Hを明確にする
「分かりやすい」とは、どんな読み手が読んでも必ず同じ意味に捉えるということです。
そのために有効な手段が5W2Hをはっきりとさせることです。
「誰が、誰に、何を、なぜ発言したのか」が分かると意思決定のプロセスが明確になり、読んでいて納得感のある議事録が書けるのです。
また、5W2Hがはっきり記していると、誰が何と発言したのかがわかります。
責任の所在が明確になり、後から「言った、言わない」がなくなるのです。
(XX)として文末に記載するのがおすすめ。
「誰が発言したか」ということを明確にする際、いちいち「A課長が~と言った」などと説明するのは冗長です。
「~の方が良いのでは?」(A課長)
上記のように書くとシンプルで分かりやすい表現になります。
24時間以内に提出する
議事録は打ち合わせや会議が終わった後なるべく早く提出するようにしましょう。
記憶が新しいうちに書けるので、より詳しく正しい内容を書くことができるためです。
更に(参加した)読み手にとっても打ち合わせの記憶が残っているので、読んで理解が早くなる=わかりやすく感じるのです。
結論を先に書く
忙しい人は議事録を最後まで読みません。
なので議事録の一番初めの部分に概要(=結論)を書きましょう。
議事録の読み手は忙しいと考えましょう。
特に管理職は仕事に追われ、いちいち議事録を隅から隅まで読まずに読み飛ばす人が多いでしょう。
読み手のことを考えて、一番最初に会議・打ち合わせの概要を書いて、一目で理解できるように構成を考えましょう。
こそあどは具体的な言葉に言い換える
「こそあど」言葉とは、下記のような指示語のことを言います。
「これ・それ・あれ・どれ」、「こんな・そんな・あんな・どんな」、「こう・そう・ああ・どう」、「この・その・あの・どの」
実際の打ち合わせでの会話は「あの件はどうなったか?」「あの顧客に対しては強気で行く」などと抽象的です。
それをそのまま議事録にしてしまうと読む人は訳が分からなくなります。
なので、あの件=>A商品のプライシング、あの顧客=>A社など誰が読んでもわかる言葉に必ず置き換えましょう。
箇条書きにする
箇条書き、リスト化すると議事録を構造化することができます。
つまり、議事録が論理的な構成になるということなのです。
文章型 Aの理由は、コストが安価で納期が短く、また品質も良いから。
箇条書き Aの理由は下記のとおり。 1.コストが安価 2.納期が短い 3.品質が良い
どちらが分かりやすいかは一目瞭然と思います。
体言止めを使う
体言止めを使うと、読みやすくなります。
「~する見込みである」 → 「~する見込み」
このように、リズムテンポが良く読みやすくなります。
読み手にとってのノイズは極力取り除くと読みやすい議事録になります。
プレゼンで「え~、あ~」と言っているのを聞くと耳につき、プレゼンに集中しづらくなりますよね。
それと同じように、集中力や理解を妨げる可能性があるノイズを取り除くと分かりやすい議事録になります。
会議中のメモの取り方を工夫する
分かりやすい議事録を書くためには、実は打ち合わせ・会議中のメモの取り方が非常に重要になるのです。
打ち合わせ中のメモの取り方のポイントは下記二つです。
- 構造化しながら書く
- なるべく全てメモする
構造化しながら書く
構造化しながらメモを取るというのは、「原因と結果」「抽象と具体」などの論理構造を意識する、ということです。
構造化といっても難しく考える必要はありません。
議事録の基本は、「決まったこと」「今後のアクション」の二つです。
この二つを軸に、それぞれどういう背景でそういった結論に至ったのか、理由と経緯を書き添えます。
ただ散漫と、誰かが行ったことをメモするのではなく、「決定事項は何か」「なぜその結論が導かれたのか」を意識しながらメモを取るようにすると、下記の例のように自然と構造化されます。
A 来年の予算方針
決定事項:前年比105%の売り上げ増大
理由:大口顧客のX社が来年設備投資を予定しており、需要拡大が見込まれるため。
課題事項:1.部内への通達(Y課長)、2.予算達成に向けたアクションの策定(Y課長)
B X社の顧客対応の改善について
決定事項:営業担当を1名追加する
理由:X社への納入製品の種類が増大しており、既存の人員では従来の品質水準を維持することが出来ないため。
課題事項:人選及び教育(Z係長)
なるべく全てメモする
こちらは特に新入社員、若手にお勧めするメモの取り方です。
一言一句書けるだけすべてノートに書きこみましょう。
打ち合わせ中分からない用語や意味がわからない発言があると、メモを書く手が止まりがちです。
いざ議事録を書こうとしたときにそうした発言は頭に残っていないか、曖昧にしか残っていません。
全て書き留めていれば、後から先輩上司に質問してちゃんと理解できるようになるのです。
意味が通じるように、省略、補足を加えていく
打ち合わせや会議では、参加者が共通の前提をもって臨んでいることがほとんどなので、重要なことがかなり省略されています。
下記例をご覧ください。
「市場が低迷しているため早急にアクションをとる必要がある」→「(中国の自動車)市場が低迷している」
「Aの件どうしましょうか」「300でいこう」→「300個注文しよう」
300といっても価格のことなのか個数のことなのか、はたまた別の数字のことをさしているのか分かりません。
「~でいこう」も何のアクションなのかあいまいです。
読み手のことを考えながら、分かりづらいところがないか探して適宜省略・補足を加えていく必要があります。
自分の業務理解が重要になります。
その自分なりの理解に基づいて会議を再構築していきます。
単純な仕事のように思えて実は難しいことなのです。
書き順は重要度順に並べ替える
慣れていない方は、議題を時系列順に並べがちです。
人間は一番先にあるものが、重要度が高いと認識してしまいます。
時系列順に議題を並べて、一つ目の議題に些細な話題があれば、違和感を感じてします。
自分なりに議題を重要度順に並べましょう。
重要度が高いものから低いものに流れていく議事録は自然な流れで、読みやすいと感じるのです。
まとめ:議事録のまとめ方にはコツがある!
議事録は若手社員に多く振られる仕事の一つです。
なんとなく議事録を撮り続けているといつまでたっても、時間をかけても分かりづらい議事録しか書けないビジネスマンになってしまいます。
議事録は業務の理解が進むし、読み手のことを考えて分かりやすく(=付加価値をつける)という仕事の本質そのものです。
若いうちに議事録をしっかり書けるようになると、仕事の基礎が身につき、一気に成長が加速していきます。
議事録はしっかりとコツを掴み、ある程度数をこなせば、驚くほど上達します。
今回ご紹介したコツを実践いただき、分かりやすい議事録が書けるようになればうれしい限りです。