初めて部下を持つとどのように指導、教育すれば良いか分かりませんよね。
部下の教育・指導は上司の一番重要な仕事と言っても過言ではありません。
課長・部長はチーム全体の業績に責任を持ちますし、その業績の維持・向上には部下のパフォーマンスを上げることが不可欠であるためです。
この記事では、どのように部下を指導すれば、部下が成長してくれるかをご紹介します。
目次
部下を効果的に教育する方法
部下を指導方法は人によってそれぞれ違いますが、いくつかの原理原則がありますのでご紹介します。
下記4点ご紹介します。
- フィードバックを伝える
- 権限・裁量を与える
- 考えさせる
- 部下のパーソナリテイを見極める
フィードバックを伝える
部下にフィードバックを伝えることで成長スピードは飛躍的に伸びます。
部下の行動が優れていた時にはしっかり褒めて、改善すべきところは遠慮なく指摘しましょう。
そうすることで部下は何が正しい行動で、何に気をつけないといけないのか理解することができます。
注意したいのは「具体的に」フィードバックするということです。
「最近頑張ってるね」
「あの資料よく出来てたね」
「さっきの打ち合わせの進め方気をつけた方がいいよ」
このような発言はフィードバックではなく、ただの感想です。
フィードバックというのは、それを受けて次回の行動の改善に活かせるものでないといけません。
「最近自分から発言するようになって主体的になったね」
「あの資料のグラフは一目見て理解できて分かりやすかった」
「さっきの打ち合わせ、顧客の理解が追いついていなかったから、反応を確認しながら説明した方がいいよ」
このように具体的に何が良かったのか、どこを改善すべきなのかが分かるように伝えるのが効果的です。
ネガティヴなフィードバックをするときは、下記2点に注意しましょう。
- 事実ベースで指摘する
- ポジティブフィードバックとセットにする
ネガティヴなことを伝える時にあなたの感情・意見が入ってしまうと部下は個人否定されたように感じる恐れがあります。
またネガティヴなことばかり言われると、不快な思いだけが印象に残ってしまうので、良かった点も添えて伝えるようにしましょう。
どちらも部下を萎縮してモチベーションが下がらないようにするため非常に重要です。
ぜひ定期的にフィードバックを与える機会を設けてみてください。
部下のモチベーションアップにも繋がり、成長速度が一気に上がります。
権限・裁量を与える
部下に明確な権限・裁量を与えれば成長を加速します。
権限・裁量を与えると部下は「任されている・信頼されている」と感じてやる気を感じます。
権限・裁量が曖昧な状況では部下もどこまで許されているのか、どこまで自分に求められているのか分からないため、主体的に動けません。
権限が曖昧な状態では「余計なことをすると怒られるかも、、」とミスや失敗を恐れ主体的に行動できません。
自分の権限がはっきりしていると、部下は主体的且つ大胆に行動することが出来ます。
例えば、営業であれば面談前にあらかじめ「2%までの値下げであれば自分で判断していい」と裁量を与えることによって、面談前の準備も面談中も自分ごととして責任感を持って仕事に取り組んでくれます。
権限を明確にすることは部下のモチベーションアップに繋がるのでぜひやりましょう。
部下が勝手に行動してミスするのが怖い、と感じるかもしれませんが、その責任を取りフォローをするのが上司の仕事です。
考えさせる
部下の指導をしていると「自分がやったほうが早い」と感じることが何度もあるでしょう。
すぐに答えた方が早いし楽なのはわかりますが、そこで簡単に答えを与えてしまうと部下の成長に繋がりません。
部下は時々驚くくらい間の抜けた質問をしてくる時がありますが、そういう時もイラッとせず、しっかり相手の考えを引き出しましょう。
部下から「○○という問い合わせが来たんですけどどうすればよいですか?」という質問を受けたらまずは、「どうしたらいいと思う?」と部下に考えさせるようにしましょう。
これを繰り返していくことで部下が主体的に考え、行動していくようになります。
最初は面倒ですが次第にあなたの手を離れていき、最後には、自発的に考え上司であるあなたに自ら答えを持ってくるようになります。
部下のパーソナリティを見極める
身も蓋もないかもしれませんが、万人に通用する部下の育て方はありません。
部下も人間ですから一人一人に個性があります。
その個性に応じて、臨機応変に指導方法を変える必要があります。
「細かく指示してくれないと不安」と感じる部下もいれば、「ざっくり方向性だけ示してあとは自分で考えたい」と考える部下もいます。
「とりあえず実際にやってみて仕事を覚えたい」という部下もいれば「やる前に1から手順を細かく把握したい」という部下もいます。
別の部下ではうまくいった指導方法も、今のあなたの部下では全く効果がない場合があります。
過去の成功体験に縛られず、あなたの今の部下がどういうタイプかを見極めましょう。
これという正解はありません。指導方法を試してみて都度部下の反応を見て、どういった指導方法が効果的か見極めるようにしましょう。
部下への教育でやってはいけないこと
部下を指導する上で絶対にやってはいけないことがあります。
ここで挙げられることをやってしまうと部下の信頼を失ったり、部下のやる気を削いでチームの生産性を落とすことになります。
威圧的な態度をとる
部下を持つと自分が偉くなったように感じて、高圧的な態度を取ってしまう人がいます。
そんな態度を取ると部下が萎縮し、部下の主体性や創造性を削いでしまいます。
当然部下はあなたに話しかけづらいと感じ、質問や相談など必要なコミュニケーションすら避けるようになります。
そうなると仕事が遅滞したり、ミスに気付くのが遅くなるなどチームにとって大きなマイナスとなってしまいます。
部下に威圧的な態度を取らず、極力話しかけやすい雰囲気を心がけましょう。
「そんなこと当然やっている」と考えているかもしれませんが、忙しい時など意外にイライラした雰囲気を漂わせているものです。
部下の成長の機会を奪うことになりかねませんので、明日から注意するようにしましょう。
贔屓する
正確には「贔屓している姿を部下に見せるな」です。
人間ですから贔屓するのは仕方ない部分もあります。
自分では贔屓していないつもりでも知らず知らず無意識のうちに贔屓していることはよくあります。
例えば、ある部下に質問を受け丁寧に教えてあげたのに、別の部下から同じ質問を受けると「そんなことも分からないのか」と怒ったり、イライラした態度を見せるなどは本当によく見かけます。
仕事に私情を挟んではいけませんが、人間である以上好き・嫌いで評価が変わってしまうのは無理もないことです。
しかし、あなたが贔屓していることに部下が気付くと、贔屓されていない部下のモチベーションは一気に下がります。
「評価の不公平感」は部下のモチベーションを下げる一番の原因といっても過言ではありません。
部下には極力同じ態度で接し、贔屓していると思われないように注意しましょう。
一貫性がない
一貫性がない上司には部下はついていきません。
一貫性がないとは、あなたが部下に対して言っていることと自分の行動が一致していないということです。
部下に常日頃「自分で考えて行動しろ」と言っておいて、いざ部下が自分で行動してミスを犯すと「何勝手なことしているんだ!」と怒ってませんか?
こうした一貫性のない態度を取ると一瞬で部下の信頼を失います。
一見、あなたの言うことに従っているように見えても面従腹背で、手を抜いたり、あなたが気づかないからと指示を無視することもあります。
部下への教育のまとめ
最後にもう一度、部下の教育方法を以下にまとめます。
- フィードバックを伝える
- 権限・裁量を与える
- 考えさせる
- 部下のパーソナリテイを見極める
部下の指導はなかなかつかみどころがなく、悩むことが多いと思います。
最初から完璧に部下指導をこなせる方はいません。
少しずつ手探りで自分や部下にあった方法を見つけていくものです。
今回ご紹介した方法は部下の教育・指導の基本ですので、ぜひ頭に入れていただき指導の参考になれば幸いです。
やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ
山本五十六