【韓国輸出規制問題】包括許可とは?分かりやすく徹底解説

7月1日日本政府より、韓国向けの3品目の輸出について、これまで包括で輸出を許可されていたものが、契約ごとに個別に許可が必要となりました。

 

ニュースや新聞などの報道では、この規制により韓国の半導体メーカーが致命的なダメージを被ると説明されていますね。

 

ただ実際、包括許可が使えなくなると何が困るのか分かりませんよね。

そこで今回は上場一部メーカーで安全保障貿易を担当している筆者が輸出における包括許可制度について分かりやすくご説明します。

  

規制品貨物の輸出は原則許可制

そもそも「リスト規制」と呼ばれる規制に該当する規制品は、輸出する際に契約ごとに経済産業省大臣より許可をもらう必要があります。

許可制なのです。

 

個別に許可を取得するのは非常に大変です。

経済産業省大臣に許可を得る必要があるのですが、まず申請のための書類集めが非常に煩雑です。

輸出する貨物の詳細な説明資料を容易して、経済産業省に赴き直接説明する場合もしばしばあります。

また輸入される貨物を使用する企業から「兵器の開発に用いない」旨誓約した書類が必要です。

その書類には取締役のサインが必要になります。

この書類集めだけでも多大な労力と時間を費やしますが、それに加え、90日間という審査の時間も追加されます。

 

それを特別な制度によって経産省に個別の許可を取らないていいようにしているのが「包括許可制度」なのです。

包括許可とは?複数の制度がある

包括許可は全部で5つの種類がございます。

一つずつ説明していきます。

 

包括許可の種類

一般包括許可(ホワイト包括)

貨物・技術の機微度が比較的低い品目について、電子申請を前提とし、ホワイト国向けを限定に一定の仕向地・品目の組合せの輸出を包括的に許可する制度

経済産業省

 

「一般包括許可」とは、ホワイト国向け限定の制度です。

それも、貨物・技術の機微度が比較的低い品目に限られます。

機微度とは、大量破壊兵器などに転用される危険性が高いかどうか、を表します。

 

比較的兵器に転用されにくく、且つホワイト国向けであれば、適用できる制度です。

特別一般包括許可(特一包括)

貨物・技術の機微度が比較的低い品目について、非ホワイト国向けを含んだ一定の仕向地・品目の組合せの輸出を包括的に許可する制度

経済産業省

 

先ほどの「一般包括許可」との違いがよく分かりませんね。

 

大きくことなる点は下記二つです。

  1. 輸出管理内部規程のうち外為法等遵守事項を確実に実施すること。
  2. ホワイト国以外にも適用できること。

  

「一般包括許可」と違い、「特別一般包括許可」を申請する企業は経済産業省が定める厳格な輸出管理規定をクリアしなければなりません。

この許可は、非ホワイト国向けであっても申請することができる為、一般包括許可よりも広範な包括許可制度です。

 

特定包括許可

継続的な取引関係を行っている同一の相手方に対する輸出を包括的に許可する制度

経済産業省

 

継続的に取引がある相手に対しては、包括して許可するという制度です。

こちらの許可も「輸出管理内部規程のうち外為法等遵守事項を確実に実施すること」が必要となります。

またこの許可については、非ホワイト国であっても適用することが可能です。

特別返品等包括許可

本邦において使用するために輸入された輸出令別表第1の1項に該当する物(武器)又はその物に内蔵された外為令別表の1項に該当する技術(プログラム)であって、不具合による返品、修理又は異品のためのみに輸出する物や技術について一括して許可する制度

経済産業省

 

他国より日本に輸入されてきた規制対象貨物を送り返す時に使用できる制度です。

使用頻度は高くないため説明は割愛いたします。

特定子会社包括許可

我が国企業の子会社向け(50%超資本)に対する一定の品目の輸出について包括的に許可する制度

経済産業省

 

日本の企業が海外の子会社に規制対象貨物を輸出する際に適用する制度です。

こちらも使用頻度は高くないため説明は割愛いたします。

どこの国が使えるの?

これら5つの包括許可制度は、輸出する国と貨物によって使用可否が異なります。

 

経済産業省が公表している「包括許可取扱要領」に詳しくまとめられております。

この要領に、「い地域」「ろ地域」「は地域」「に地域」「ほ地域」「へ地域」「と地域」「ち地域」「り地域」と世界各国を区分しています。

この地域の区分と、リスト規制のリスト1項から15項をマトリックス上に分けて、それぞれ使用できる包括許可制度を定義しています。

 

例えば、特別一般包括許可は非ホワイト国であっても適用が可能と説明しましたが、これも貨物と国によります。

ある貨物では、台湾や中国などにも適用できるが、ある貨物では適用不可となっております。(多くの場合適用不可)

これは輸出する貨物の技術の機微度によって異なります。

 

継続的に取引のある輸出先に使用できる「特定包括許可」も同様に、国や貨物によって異なります。

じゃあ韓国はどうなの?

今輸出管理体制の見直しで多く騒がれている韓国はどうなのでしょうか。

どの「包括許可」が使用できるのでしょうか。

 

2019年7月21日現在は、韓国は「り地域」に属します。

「り地域」は今回の見直しで新設された地域で、韓国しか属していません。

だから韓国だけ狙い撃ちした対応が可能なのです。

   

これまで韓国は「い地域」という地域に属していました。

この地域に属する国は全てホワイト国で、一番優遇されている地域です。

使用可能な包括許可が一番多いのです。

   

現在、韓国はホワイト国の中で唯一「い地域」でない国です。

  

この地域の区分はホワイト国とは全く関係ありませんが、これまでは「い地域」の国とホワイト国の国が一致しておりました。

それが、韓国だけホワイト国の中で「り地域」に属しております。

 

韓国はこうした事実に対して、「差別だ」と批判しております。

韓国がホワイト国から除外されると、この「地域」とホワイト国のギャップがなくなるのです。

韓国はまた反論の術が一つなくなることになります。

  

8月より韓国がホワイト国から除外されると「一般包括許可(ホワイト包括)」が使えなくなります。

 

まとめ

包括許可にはいくつか種類があり、韓国はホワイト国から除外されると「一般包括許可」を使用できなくなることをご説明しました。

 

韓国がホワイト国から除外される実質的な損害はこれですが、ほとんど影響は出ないと考えております。

なぜならホワイト国でなくても現在の「り地域」であれば、「特別一般包括許可」はこれまでどおり使用できるからです。

  

これまで「一般包括」しか使用してこなかった日本企業は、SamsungやLGなどいった大企業から「特別一般包括許可」の取得を求められる可能性が高いでしょう。

 

「特別一般包括許可」の取得はかなり大変です。

厳格な社内管理体制が必要となります。

逆に損をする、負担が増えるのは日本企業のような気がします、、、

 

また、そもそも日本の大企業であれば、社内管理体制がしっかりしており、既に「特別一般包括許可」を取得しているところがほとんどでしょう。

 

なので私は韓国がホワイト国から除外されてもほとんど影響はない、と考えています。

-その他

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